A4用紙1枚。「通知書」と書かれたその紙に、もう期待はしていない。
13年前に長男の圭祐さん(当時19)の命を奪われた母・釜谷美佳さん(57)の元には年2回、服役している加害者(35)の刑務所での処遇が記された通知が検察から届く。
「改善指導名 一般改善指導」「反則行為名 怠役 閉居5日 物品不正所持 閉居10日」
書かれているのは独特の無機質な用語の羅列。裏面に言葉の説明はある。でも「相手が事件をどう受け止め、いま何を考えているのか、これを読んでも全く分からないんです」。
例えば、反則が多いのはただルールを守れないだけなのか、それとも自暴自棄になっているのか。もしかして事件を反省しておらず、更生する気がないのか。そもそも反則が複数あるのは一般的なのか……。
一方的に送られてくるだけの通知書は、遺族の知りたいことには何も応えてくれない。
遺体から流れた、血混じりの「涙」
圭祐さんは2010年10月29日、神戸市須磨区の路上で2人の男から顔や頭を殴る、蹴るの暴行を受けて死亡した。圭祐さんが複数の友人と共に主犯の男の妹と遊んでいたのを、男は妹が連れ回されたと思い込んで暴行に及んだ。
遺体となって家に帰ってきた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル